タイ:地震で倒壊し100人以上が生き埋めになった建設中の高層ビル、低品質な鋼材使用の疑いが浮上
3月28日(金)、ミャンマーで発生したマグニチュード7.7の大きな地震により、1700人以上が死亡し、同国全域で深刻なインフラ被害が発生した。赤十字は今回の災害について、「アジアで100年以上みられなかった規模の壊滅的被害だ」と表現している。
この地震の影響は、隣国タイにも及んだ。タイ・バンコクでは、建設中だった国家会計検査院(SAO)の30階建てビルが倒壊し、現場にいた作業員(ミャンマー出身の移民労働者を含む)320人のうち103人が被害を受け、4月17日時点で41人の死亡が確認され、50人が行方不明となっている。犠牲者のうち、22人はタイ人、10人がミャンマー人、1人がカンボジア人であった。
このビルは、中国の国有企業「中国鉄建第十局集団(China Railway 10th Bureau)」が、タイの建設大手「イタリアン・タイ開発(Italian-Thai Development)」と共同で請け負っていたものである。ラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia)によれば、なぜバンコク市内の他の建物が持ちこたえたなかで、このビルだけが倒壊したのかは依然として不明であるが、初期の調査結果からは、基準を満たしていない鋼材が使われていた可能性も示唆されている。
同局はさらに、今回の事故がタイ国内で働く移民労働者の「不安定な労働環境」を浮き彫りにしたとも指摘している。ミャンマー、カンボジア、ラオスなどからの移民は、しばしば危険度の非常に高い現場で働いており、安全対策や労働者保護の面で課題を抱えている。
オーストラリアのABCニュースによれば、中国政府は事故に関する報道統制を強めており、中国鉄建第十局は自社のWeChatアカウントから関連投稿をすべて削除した。一方、タイ政府は、事故に関する正式な調査を開始したという。ABCニュースは、中国鉄建第十局およびその親会社である中国鉄道集団(China Railway Group)、イタリアン・タイ開発社、さらに中国のSNS企業WeiboおよびRednoteに取材を申し込んだが、いずれからも回答は得られなかった。